知らないくせに

親戚のよく問題を起こしていた男(私たちの従兄、父の姉の息子)、とハハオヤの話。

まだ小さい時、本当に小さかったので弟はまだ生まれていなかった頃だと思う、

私はお漏らしした罰とかで、スカートは穿いてたけど下着を穿かせてもらえず、

その格好でコタツに入っていたら、「その男の父親」が遊びに来て、私の隣に座った。そして私に

「あれ? パンツ穿いてないんだ」と言った。

ということは私の体に手を伸ばしてきて私のスカートの中を触ったということだけど

私は当時すでに虐待のせいで無感覚だったのか、

その時の状況が全く分からなかった。

出し抜けにそいつに「穿いてない」と言われた。

その後どうされたのか憶えていない。多分私は抵抗もしなかった。

抵抗は、誰に対しても絶対にしてはいけないとハハオヤに叩き込まれてたから。

たとえ私への猥褻行為でも絶対に抵抗してはいけない。

「悪いのは私」だから。お母さんも助けてくれない。

 

助けてくれないどころか、何かが起きた時

引き起こしたのは、悪いのは私だから、それが起きたことを知らせに言っただけで

ハハオヤからひっぱたかれるか罵られるかするから

自動操縦的に私は口を噤んだ。

怖いという気持ちも、危機を脱したいという本能も

反射的に遮断して、固まって、過ごした。

後年その固まった状態をグズだの変わってるだのと言って

ハハオヤと妹は、虐待で神経症になった私をせせら嗤っていた。

 

こういう危ない人間がうちに上がり込んで娘の隣に座ったら

普通の母親なら心配するだろう、追い返すわけにもいかないから

家事を切り上げて間に入って監視を始めるとか、

娘を別の場所に移すとか。

でもハハオヤは娘の安全なんか心配しない。

寧ろ何かいやらしいことが起こらないか期待してたと思う。

 

ここからは本題の、問題のある従兄のこと。

ある日の昼間、私と妹は母にお風呂に入れられていた。

昔のお風呂で、沸かすにもすごく時間がかかるし保温もできない。

父親も帰ってくるまでだいぶ時間がある真っ昼間に

ハハオヤは私達子どもも一緒に風呂に入れた。

私が湯船の外に立っていて、ハハオヤが妹とお風呂に浸かっていた。

その時裏口から突然、本当に突然、

その従兄がうちに入ってきて来ていきなり!浴室のドアを開け、

「あれ、風呂入ってたの?」とニヤついて言った。

ハハオヤも目を合わせてニヤついた。

 

ハハオヤは突然入って来たそいつを怒鳴りつけもしない。

「きゃー!」とも「何をするんですか!」とも言わず

自分の裸を隠そうともせず

ただ、ニヤッと笑って無言で上目遣いでそいつと目を合わせていた。

 

私は子供だったけど、この家はこんな異常な事をなぜすんなり受け入れるんだと思ったよ。

 

ハハオヤは子供はいくらでも騙せると私達が中年になってからさえ考えていたし、

何が起きたかをこの子達が後でお父さんに話すことも、

こういう場面を憶えていることも無いと踏んでいただろう。

ハハオヤはその男の来訪を事前に知っていて、

その時間に合わせて入浴していたと思う。

そして妹や弟は目撃者としては幼過ぎて、

ハハオヤのこういう行動に接していたとしても

何が起きているのかを理解していなかったと思う。

私は、ハハオヤのこういう猥褻なところに猛烈に反発していた。

 

でも妹弟は、何も知らない。

 

私がハハオヤから暴力を受けていたり、

成長してからは私をオカシクした当のハハオヤに

精神科に連れて行かれ向精神薬大量処方という生き地獄に放り込まれことも全く知らない。

だから、自分たちには優しいハハオヤに、猛烈に立ち向かった私を敵対視し攻撃した。

ハハオヤは、荒れ狂う私を見て、残虐の喜びが止まらなかっただろうな。

私を虐待すればするほど、私の精神状態がひどくなり、

何も知らない妹弟がますます自分に同情してくれるから。

そして私はますます追い込まれる。

そういう悪循環をハハオヤは悪魔のように喜んでいたんだろう。

妹弟、何も知らないくせに。

ふざけんじゃないよ。私が受けた100分の1の虐待も受けた事ないくせに。